前回のレッスンでは、コーチング・リスニングの4つのステップを紹介しました。そしてステップ1:「最後まで話を聞く方法」を詳しく学習しました。
コーチング・リスニング4つのステップ(Lesson2-1復習)
1:最後まで聞く(途中で言葉を挟まない)
2:観察しながら聞く:(表情や手振りにも注意を払う、話のストーリーではなく、感情に注目する)
3:共感しながら聞く:(相槌を打つ、ポイント部分を繰り返す事で話している相手と歩調を合わせる)
4:時間をかけて聞く:(子供が無言になったり、話が脱線しても聞き続ける)
※「非言語コミュニケーションを聞く」についてはLesson2-3にて別途説明
それでは今日はリスニングステップの2:「観察しながら聞く方法」を学習していきましょう。
観察しながら聞く
感情を聞く-「ストーリーだけに注目しない」
話を聞く際、私たちは内容の筋(ストーリー)だけを追ってしまいがちです。
しかし、実は話されている具体的なストーリーが重要ではなく、そのストーリーがどのような感情で話されるかが重要です。
例えば、子供が兄弟喧嘩をしている時にコーチングを行うとします。
まずリスニングを行いますが、その際「誰が何をしたから喧嘩が起こった」という物事の経過に注意を払うのか、それとも「誰が何をした時こう思った」という話し手の感情に注意を向けるのかで、リスニングから受けられるものが大きく変わります。
ストーリーに注目するリスニングをした場合の例:
親が聞き取った内容:「姉が塗り絵をしている時に、妹がクレヨンを一本取った。それで姉がクレヨンを乱暴に取り上げたので妹が泣き出した」
この話の内容から予想される親の反応:「クレヨンの一本くらい貸してあげなさい」「どうして仲良く分け合えないの?」
この話から親が出した結論:「お姉ちゃんは、人に物を与えるのが苦手なようだ」「ケチなのかもしれない」「性格がきついのかもしれない」
話し手の感情に注目するリスニングをした場合:
親が聞き取った内容:「妹がわたし(姉)のクレヨンを勝手に取った。以前、大切にしていた色鉛筆を妹に折られて悲しかったので、今度もそのようなことがまた起こると嫌だと思い、急いでクレヨンを取り上げた。妹はびっくりして泣き出した」
親の反応:「色鉛筆を折られて(そんなに)悲しかったんだ」「クレヨンを(そんなに)大切に感じていたんだ」「妹に意地悪をしたわけでなく、二人の感情が行き違っただけだった」
この話から親が出した結論:上の子は自分の所有物を守りたい自我が出てきたのかもしれない。絵の才能があるのかもしれないから伸ばしてあげよう。一方で、妹が好きに使えるクレヨンを与えてあげよう。
話されている内容は愚痴や不満等の怒りなのか、それとも寂しさや疎外感等の悲しみなのか、欲求なのか等と、カテゴリー化して聞いてみると、子供の感情に気づきやすくなります。
