子育てコーチング6つの基本ステップ
1: 傾聴する-子供の話をよく聴く
2: 共感する-温かい言葉で子供の話を受け止めたことを表す
3: 質問するーさらに深く自分を振り返るよう子供を導く
4: 承認するー人から承認されることで安心、勇気を得る
5: 行動-子供に解決案を考えさせる
6: 継続-自分で決めた目標を守れているかどうかフォローする
これからステップごとにレッスンしていきましょう。
レッスンを重ねるごとに、だんだん最後のステップまで子供を導けるようになります。途中までしか成功しなくても、「今はコーチングの練習中!」と思って一つ一つステップを進んでいきましょう。
ステップ1-聴く
レッスン2では、6つのステップのうちの最初のステップである「聴く」という大切なパートをいくつかの段階に分けて学習していきます。
チャイルドコーチング6つのステップの中で最も大切なテクニックは「相手の話を聴く」こと。
他の5つのステップができなくとも、「聴く」コーチングだけマスターしていれば、かなり大きな効果がありますので、しっかり学習していきましょう。
子育てコーチングで「話を聴く」時のポイント
子供の話をコーチング的に聴くために、以下の5つのポイントを意識します。
1:最後まで聴く:(途中で言葉を挟まない)
2:観察しながら聴く:(表情や手振りにも注意を払う、話のストーリーではなく感情に注目する)
3:非言語コミュニケーションを聴く:(言葉だけではなく、相手の表情や態度から意図を読み取る)
4:共感しながら聴く:(相槌を打つ、ポイント部分を繰り返す事で話している相手と歩調を合わせる)
5:時間をかけて聴く:(子供が無言になったり、話が脱線しても聴き続ける)
最後まで聴く
それでは、一番目のポイントである「話を最後まで聴く」を考えてみましょう。
穏やかな気持ちで始まった親子の会話が、なぜか最後には喧嘩になってしまった。
そんな経験はありませんか?
会話が喧嘩に発展する理由は、会話の早い段階で親が口を挟んでしまうことにあります。
「以前コーチングを試したがうまくいかなかった」方は、ほとんどが「話を最後まで聴く」パートで挫折してしまいますが、実は、「話を最後まで聴く」ことは高度な技術です。
一朝一夕に習得できる技術ではありませんので、失敗しても悩む必要はありません。何度もトライすれば、必ず少しずつ話を聴けるようになります。
話を最後まで聴けるようになると、他のコーチングスキルを使わなくても、最後まで黙って子供の話を聴くだけで多くの問題が自然に解決するようになります。
それでは、なぜ最後まで話を聴くことがそんなに大切なのでしょうか?
子供の話に途中で口を挟んでしまうと、次のような間違いが起きるからです。
1: 早合点、話の誤解
子供が話をするとき、大人から見たら単純な話でも最初から「結論が出ている」ものと早合点してはいけません。
もし話の早い段階で口を挟めば、子供の「聞いてほしかった真意」からずれた意見をしてしまう確率は高くなります。その結果「やっぱり話を聞いてくれない」と子供をがっかりさせてしまうでしょう。
子供にとって、話しにくい大切な内容であればあるほど単刀直入にはなれず、長い前置きや話の堂々巡り、一見関係のない話などが出てくるようになるでしょう。
子供にとっては本当の気持ちを話す前の「準備」会話なのですが、親がそこで性急に口を挟んでしまえば、子供は本題に入っていけなくなるかもしれません。
プロフェッショナルなカウンセリングでも「初回の話を聞いた段階では、カウンセラーはまだ助言をしない」というルールがあるほどです。子供の話の途中で性急に結論したり、助言したりしないようにしましょう。
2: 気持ちに水をさしてしまう
真意を話すのには勇気もエネルギーも必要です。
途中で親が会話の主導権を取ってしまえば、子供はそれ以上努力して心を吐露する気にはなれないでしょう。真剣になっていればいるほど、途中で口を挟まれることで傷ついてしまう子もいます。
話の途中で口を挟んでしまうとコーチングのもっとも大切な基本である、「お互いの信頼関係」が崩れてしまいます。信頼関係が壊れた状態でコーチングを進めても思うような効果は得られません。
また、話をしている子供は自分の「本当の気持ち」を探りながら話をしています。親が途中で口を挟み、それに子供が対応しなければいけなくなると子供の思考の流れをさえぎってしまうことにもなります。
そうすれば、子供に話をさせようと思っても途中で子供は思考の探求をあきらめてしまうかもしれません。思考のあきらめは、「わからない」「どうでもいい」等の投げやりな態度となって返ってくるかもしれません。
とはいえ、実際に子供の話を最後まで「聴く」のは難しいものです。
人生の大先輩である親は、親切心から「早く子供に正解を教えてあげたい」と思ってしまうかもしれません。
また、子供の話の中で、「お友達のゲームを無断で持ってきてしまった」等、問題行為が明らかになった場合はコーチングをすぐ中断し、その場で叱責しなければいけないと思ってしまうかもしれません。
コーチングではその衝動を抑えなければなりません。
しかし、すぐには話を最後まで聴けるようにはなりませんから、最初のうちは自分の中で、「子供が一つのセンテンスを完全に言い終わるまで、どんな事があっても絶対に口を開かない」というゲームをしてみてください。
一つのセンテンスを黙って聴くことができたら、次のセンテンスが終わるまで「無言ゲーム」を続けてみましょう。
思わず口を挟みたくなるような話を聴いている間は、温かい相槌をうつ心の余裕がないこともあります。そんな時は、話を聴いている間、無言でうなずくことでごまかしても大丈夫です。
口を挟まず話を聴ける時間が長くなればなるほど、そのリスニング行為だけで解決していく問題が多いことにきっと驚かれると思います。
なぜなら、人間は話をするだけで大きな満足感が得られるからです。
ですから、聞き手である親も「今は口を挟まないほうがいい」と分かっていても、つい話を始めてしまうのですね。親にだって同じ人間として「話をしたい」という欲求があるからです。
家庭での全ての会話をコーチングリスニングする必要はありません。コーチングをしている時間だけ、「自分は今、プロのコーチとして話を聴いている」という自覚を持って、自分の欲求は我慢してみてください。
- コーチングの第一ステップは「話を聴く」
- 「話を聴く」とは「途中で口を挟まないこと」
- 話を最後まで聴いてもらうだけで子供は満足する

