「褒めて育てる」という教育方法がありますが、チャイルドコーチング(または通常のコーチング)では「褒める」ことはコーチング・スキルに含まれていません。
他のレッスンでも学びましたが、子供の存在を認めること、承認することと、「褒める」ことは違います。
「褒める」とは、辞書によると「人のしたこと、行いを評価してそのことを言う、称える」という意味があります。
子供が良い行いをした時に褒めるのは問題ありませんが、「褒めてその気にさせる」テクニックのひとつとして「褒めること」を使う場合はいくつかの問題が生じます。
子供は小さなことを大げさに褒められても、不自然さを感じます。
褒めてやる気にさせようと思ってもすぐに大人の”トリック”に気付くようになります。
褒めすぎると褒める効果がなくなる
「褒めて育てる」という教育が流行した時、育児だけではく学習にも「褒める」方法が適用されました。
しかし、褒めて育てる時代に成績はあまり向上しなかったと言われています。
それは、「褒めること」の効力がすぐに効き目を失ったからです。子供は褒めすぎられたり、あまりに小さなことを褒められたりすると喜びを失ってしまいます。
また、褒められすぎて大人になると、褒められることが当たり前になり、少しでも褒められないと極度に傷ついてしまう傾向が見られます。
「とにかく褒める」教育に疑問や難しさを感じている親もいます。「何を褒めればいいかわからない」「子供を褒めることは気恥ずかしい」という悩みです。
もちろん、褒めるべき「良い行動」がなければ子供を褒めることが難しいのは当たり前のことです。
褒めるべきことがなければ褒めなくても良いのです。
むしろ、無理に褒めることは害になれこそ、子供の益にはなりません。
大げさだったり、無理に褒めたりすることは、褒めるよりも「おだてる」行為に近いと言えるでしょう。
褒めすぎると自信がなくなる
褒めすぎると、褒められること自体に喜びを感じなくなり、一方で些細なことでも賞賛を期待するようなる他、子供の自信がなくなるという害もあります。
子供の良い業績を大げさに褒めれば褒めること、自分は良いことをした時にしか親に喜ばれないという不安を抱かせるからです。
また、大げさに褒められ続ける子供は失敗を極端に恐れるようになります。
それは、親をがっかりさせるだけではなく、自分はなんでも良くでき、失敗などはする必要がないと誤解してしまうからです。
そして少しでも失敗すると、非常に落胆し立ち直るのに大変な時間がかかるかもしれません。
褒めすぎることは打たれ強い子供に育てる助けにはならないようです。
「褒め殺し」などという表現もあるように、褒めすぎることは子供を褒め言葉で縛り、身動きができない状態にしてしまうことさえあります。
業績を褒められすぎると、「自分は良いこと(良い成績を取るなど)しているから愛される。良いことをしなければ愛されない」という間違った考えを与えてしまうからです。
そのような場合、「良い子」を演じなければ人に好かれないと思う大人になってしまうでしょう。
褒めるなら勇気や努力を褒めよう
だからといって、「子供を褒めてはいけない」ということでは決してありません。おだてるような褒め方や無理に褒めることは必要がないだけです。
子供の挑戦する勇気、優しさ、努力などは率先して褒めてあげましょう。
行動の結果よりも、行動そのもの、またはその背後にある気持ちを褒めましょう。
例えば子供が失敗しても再び挑戦しようとしている時や、兄弟に優しくしてあげた時、その勇気や優しい気持ちを評価してあげるべきです。
「褒める」ことがしっくりこない場合、もちろん「承認」のスキルを使えます。承認のスキルは「褒め言葉」に該当します。大げさな賞賛の言葉でなくとも「ちゃんと見ていたよ。」の承認が子供の気持ちに適切な褒め言葉となるでしょう。
- 褒めすぎると害もある
- 褒めすぎると褒めの効力がなくなり、懐疑的になる
- 褒めすぎると失敗を恐れるようになる
