チャイルドコーチングの基本は「子供の話を聞く」ことですから、会話がなければコーチングはできません。
子供がなかなか話をしようとしない場合は、普段家庭での会話に慣れていないだけかもしれませんので心配する必要はありません。
辛抱強く、心のこもった興味を示すこと、温かい質問などで親との会話に参加するよう促し続けることが大切です。
今、話す気持ちになれなくても、親は快く会話の場を開いてくれているということは認識してくれるはずです。親が会話にオープンな態度を撮り続けていれば、子供の気持ちが整えば必ず話をしてくれるはずです。
そのため、会話をしやすい環境づくりも大切です。
テレビを消す時間をつくる
テレビがついていないと音がなくて寂しいという理由で、テレビを見ているわけではないけれどテレビがいつもついている家庭もあります。
しかし、テレビがついていれば「見ているわけではない」といいつつ、テレビに注意を奪われてしまうものです。
テレビが常についている家庭では、家族の会話が少なくなる傾向にあります。また、テレビがついていると、せっかくの会話がテレビの内容だけにとどまり、会話が深まることはありません。
せっかく親子が一緒にいて、会話を重ねても、お互いの日常や気持ちを話し合うことはないという環境を作ってしまいます。
欧米では家庭でいつもテレビがついていることはありません。
もしついていたとしても、食事をする場所にテレビがあることは少ないのです。
それは、「食事をする時は会話をする」という習慣があるからです。
テレビをつけないようにするのは難しいかもしれませんが、「食事中だけ、または夜のニュ-スが始まるまで」はテレビをつけないという”テレビがついていない時間”を少しでも作ってみましょう。
食卓についたらまずテレビをつける習慣ができてしまっていたり、すでに、子供がテレビ環境で育ってしまった場合、少しの時間帯でもテレビを消すことはとても困難です。
しかし、「テレビがついていること」もひとつの癖ですから、喫煙したりジョギングを始めたりすることと同じく、挑戦したり挫折したりを繰り返していくうちに、テレビを見ない時間に慣れることは可能です。
チャイルドコーチングでは、子供が普段自分でも考えていない内容を話しだすことが目標です。そのためには、静かで落ち着ける時間と環境が必要なのです。
具体的なことを聞く
子供の日常や現状を知ろうとして、「今日は学校で何があったの」と聞いても「べつに」しか返ってこない場合、質問をもっと具体的にしてみましょう。
質問のレッスンで学習した通り、相手が会話にのってこない状況では、簡単に答えられるクローズド・クエスチョン(Yes,Noで答えられる質問)が効果的です。
「今日、朝学校間に合った?」「今日、大変だった?」などの、Yes,Noで答えられる質問を”呼び水”として使ってみましょう。
また、チャイルドコーチング会話にまだ慣れていない子供は、よく考えなければいけない質問、シリアスな質問をされれば会話を避けたいと思うでしょう。
親に話しにくい内容や、自分自身でも向き合いたくない話などはもってのほかです。
話しにくい雰囲気があれば、具体的で内容の軽い会話をすることからはじめましょう。
食事の最中に「今日、学校の給食はなんだったの?」「次の実習は何をするの?」などの具体的な質問をするようにしてみてください。
子供がチャイルドコーチングのような会話に参加するようになるまで時間がかかるかもしれませんが、まず、日々の生活で少しでも親と会話をする習慣がつくことが大切です。
本を読ませる
読書と家庭での会話とあまり関係がないように思えますが、ある調査では、読書をする子供と、しない子供を比較してみると、読書をする子供のほうが「家庭での会話を大切だと感じている」傾向があることがわかりました。
日々の生活では、忙しさや煩雑なタスクに追われ、大人であっても情緒的な感覚が失われます。
子供も幼稚園、学校、試験、習い事や友達関係に忙殺され、「親とのコミュニケーション」という余裕がありません。
そんな環境の中、本を読むという行為は情緒的なことや人生の本質的なことを思い出させてくれます。
子供が小さい場合は、すぐに本を読み聞かせるなどして、子供に読書の習慣をつけてあげましょう。
子供が大きくなっている場合、すぐに子供を本に向かわせるのは難しいですが、親がベストセラーや話題の本をまず読み、子供に本からの興味深い話をしてあげるのもひとつの方法です。
もちろん、親が本を読むことは、話題や世界観を広げたり、視点を変えるなどの大きな助けになってくれます。そして、コーチングに必要な豊富なボキャブラリーを広げることもできます。
本を数冊読んでもすぐには変化が見られないかもしれませんが、他のコーチングスキルと同様に少しでも、また断続的にでも挑戦していくうちに、嬉しい効果が必ず得られるはずです。
家庭で発表の場を作る
欧米では、家庭や社交の場で子供にも発表の機会が与えられます。
決して、欧米の教育や習慣が全て良く、日本のものが悪いというわけではありませんが、子供が幼い時に社交の機会が与えられることは見習いたい習慣です。
日本では、大人が集まる場所では子供は大人に混じらず、子供だけで遊ぶよう促されますが、欧米では子供も大人の会話に参加します。
そのような体験の中で、「話す」という練習をするのです。
日本にいても、来客があれば、子供を5分だけ大人同士の会話に参加させることは可能です。子供が小さい場合、このように少しの時間でも「会話」「発表」の機会を与えてあげることで、「話す」「発表する」「コミュニケーションする」スキルを発達させてあげましょう。
「今、幼稚園ではどんなことをしているのか教えて」「ピアノの教室ではどんな曲を練習しているのか、●●さんに教えてあげて」など質問してみましょう。親ではない大人と会話することが子供の会話のスキルを大いに発達させます。
他の大人と話をする機会がない場合、家庭で少し改まった「発表の場」を作ってみることもひとつの方法です。
家族旅行に行った後、夏休みの報告会など、子供に簡単なエッセイや作文を書かせて家庭で発表します。
書く、報告するというスキルは本を読む以上にコミュニケーション能力を発達させますから、欧米と同じく、子供の頃から体験させてあげることが望ましいでしょう。
子供がある程度大きくなっている場合、同じ本を読んで感想を述べ合う(発表しあう)のも、バラエティーに富んだコミュニケーションを生むはずです。
- 話やすい静かな環境をつくってあげましょう
- 「べつに」にはクローズドクエスチョンか具体的質問で対応
- 読書やライティングは会話を助けるスキル
