レッスン8では、チャイルドコーチングを行う際問題となりやすい点をFAQ形式でまとめてみました。
FAQ 子供の話を聞くことが難しい
チャイルドコーチングで一番多く寄せられる質問や悩みは、「子供の話を黙って最後まで聞く」ステップではないでしょうか?
「人の話を傾聴する」ことは、コーチングで最も大切で重要なスキルです。しかし、同時に最も難しいスキルでもあります。
それはなぜでしょうか?少し考えてみましょう。
聞く方には能力の余裕がある
人が一分間に話せる量は平均して200文字前後です。
しかし、聞ける量はその3倍から4倍と言われています。
人が話せる量と聞ける量に大きなひらきがあるために、「話し手は一生懸命話をし、聞き手は話を聞きつつ違うことも考える」という状況が必ず発生するのです。
聞き手には他のことを考える余裕があるので、つい「次に自分が何を言うか」を考えたり、話し手のあら探しをしてしまう誘惑にかられます。
また、話すことと比べ、聞くことは受動的行為です。
人はじっと座って待つよりも何かしら行動するほうが快く感じる性質がありますから、「黙って聞く」という行為は忍耐が求められます。
そのため、コーチ側が活動的な性格であればあるほど、子供の話の途中で遮ったり、口を挟んだり、結論を急かしたりしたくなるかもしれません。
友人や配偶者との会話も考えてみましょう。
相手が話している最中に「いつ話が終わるのかな?いつ自分の番が回ってくるのかな?」と考えたことはどのくらいあるでしょうか?
話を聞いている間、自分のことを考えず、相手の話そのものと相手の表情やボディーランゲージに集中したのはいつでしょうか?
プロのコーチでもなければ、人は普段人の話をあまり聞いていないのです。
「会話」といっても、実際にはお互いが自分の話したいことだけを考え、相手に関わらず自分の話したい話をする行為が「会話」と呼ばれています。
人の話を聞くとき、共感や興味を感じるかわりに、「あなたがこれだけ喋ったのだから、今度は私に話させて」と感じることが多いなら、まず「傾聴」の練習をする必要があるかもしれません。
「傾聴」する時間を短く区切ってみましょう
「話を聞く」ということがどれくらい難しいか、友人や配偶者などで「真剣に話を聞く実験」をしてみてください。
たった5分でも難しいはずです。
子供とのチャイルドコーチング会話でも、友人との会話でも構いませんが、「傾聴」の練習をしてみましょう。
最初は1分でも構いません。
話されている内容、言葉、トーン、スピードに集中してみるのです。
この練習中はあなたは他のことを考えていませんから、自然とうなずきやあいづちが出てくるはずです。
5分もすればだいたいの話の内容が見えます。真剣に聞いていればコーチングの質問集などを参考にしなくとも、必ず興味からその場にふさわしい質問があなたの中からわいてくるはずです。
5分の傾聴ができれば、もう合格です。あとは傾聴できる時間を少しずつ伸ばしていけばいいだけです。
チャイルドコーチングで練習しても構いませんが、大人の友人との会話で練習させてもらうほうが安全です。
「5分きちんと話を聞いたらいつもの自分流の会話に戻ってもいい」というルールで、とりあえず練習をはじめてみましょう。
慣れてきたら「相手の話をきちんと聞くタイム」や「相手の話を聞く比率」を伸ばします。
この練習のうれしい成果として、すぐに友人から「今日は話を聞いてもらえて元気になった」とうれしいフィードバックが得られるはずです。
大人の話し手から、「聞いてくれてありがとう」「聞いてもらえてすっきりした」という言葉がでてきたら「傾聴」の練習は成功しているといえます。
