Lesson6-2 「行動させる②ーフィードバック」

フィードバック(feedback)とはなんでしょうか?

もともとは電気工学用語でしたが、現在は「反応や意見、反響」という意味で一般的に使われています。

コーチングでの「フィードバック」とは、今まで聞いた話から、あなたが感じたことを子供に話すことです。

つまりあなたからの「感想文」のようなものです。

 

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あなたからフィードバックをもらうことで、子供は「話を聞いてもらうことや共感してもらうこと、質問に応えて考えること」という助けを得ても到達できなかった考えに足を踏み入れることができます。

人間は自分がよく見えないものです。そこで、フィードバックを得ることで、客観的に自分がどのような位置にいるのかを確かめ、調整することができるのです。

つまり、子供は親からのフィードバックを聞いて自分を軌道調整するのです。

 

フィードバックの仕方

これまでのステップでは、親の反応は全てポジティブである必要がありましたが、フィードバックは必ずしもポジティブである必要はありません。

話を聞いて「ネガティブな感じを受けた」「見方が偏っていると思った」などのネガティブなフィードバックでも構わないのです。

このフィードバックのステップでは、「子供をどのように導くべきか」を考えて発言する必要はありません。

なぜなら、そうした配慮は今までの「傾聴、共感、質問、承認」を通してすでに行われ、コーチングセッションでの信頼関係ができているからです。

子供は話しをしっかり聞いてもらうことで十分に満足し、共感や承認を得ることで安心し、質問をされることで自分が求められていることを実感していますから、会話での親への信頼がしっかり築かれています。

そのため、「フィードバック」をうける段階では、ネガティブなフィードバックも受け入れる姿勢ができているのです。

子供は「ここまで話を聞いたり、共感してくれた人(親)からどんなフィードバックをもらえるのか」興味を持ってあなたのフィードバックを待っています。

 

「質問」のスキルと同じく、フィードバックの方法にマニュアルはありません。

なぜなら、フィードバックは、子供の話を聞いた印象そのもの、そのままであるべきだからです。

子供の反応を恐れず、「お母さん(またはお父さん)が感じたことを言ってみてもいいかな?」と前置きをし、感じたことを伝えてみましょう。

 

例A(ポジティブなフィードバック):

「●●ちゃんの話を聞いて、ほんとに頑張ったんだなって伝わってきたよ。」

「●●君の優しい気持ちがよく理解できた。お友達にもこんな風に伝えられたらいいと思ったよ。どうかな?」

 

例B(ネガティブなフィードバック):

「●●君の話を聞いていて、●●君は友達にではなく、何か他の事に怒っているような気がした。どうかな?」

「●●ちゃんの話を聞いていて、●●ちゃん自身が何をしたいか自分を見失っているような気がしたんだ。どうかな?」

 

あなたが本当に感じたことならば、フィードバックがポジティブでもネガティブでも構いません。

あなた自身の直感を信じ、正直なフィードバックを返した後に「どうかな?」と子供に反応を促してみましょう。

 

フィードバックで気をつけること

「話を聞いていて感じたことをそのまま言う」のがフィードバックですが、ここで待ってましたとばかり子供を矯正したり、否定したりしたりすれば今までコーチングステップで時間をかけて培った信頼関係が壊されてしまいます。

フィードバックは叱るチャンスや、親が自分の話をする場ではありません。

あくまでも、「話を聞いてこんな印象を受けたのだけれど、どうだろう?」と一歩引いて客観的な立場でフィードバックしてください。

フィードバックの機会を利用して、他の子供と比較したり、「だから言ったでしょう」などと責めたりすることはフィードバックではありません。

どうしても批判、評価風の発言をしてしまう場合、I(アイ)メッセージを使い、「お母さん(またはお父さん)が感じたことなんだけど、」と前置きをしてみましょう。

フィードバックの内容は具体的なら具体的であるほど、子供には益になります。

 

フィードバックが抽象的な例:

: ●●ちゃんの話を聞いてたら、なんだか自分に自信がないのかなって思ったよ。

 

フィードバックが具体的な例:

: ●●ちゃんの話を聞いていたら、何度も「自分なんか」っていう言葉がでてくるのに気づいたんだけど、どうかな?

: え、私そんなこと言ってたかな。

 

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もし、気づいたことをそのままフィードバックして、子供を憤慨させてしまう場合、「傾聴する、共感する、質問する、承認する」のステップで十分でなかったところはないか考えてみましょう。

「傾聴する、共感する、質問する、承認する」がしっかり行われていなかったとしたら、別の会話機会でもう一度基本の4つステップを丁寧に行って、またフィードバックにトライしてみてください。

なお、フィードバックは、子供の話を聞いた後に親が下す「最終結論」ではありません。

フィードバックを聞きつつ、見方や思考を調整し、最終的に結論をするのは子供自身です。

 

  • フィードバックとは「感想」のこと
  • 「話を聞いて感じたこと」を素直に伝えるだけでOK
  • 信頼関係ができていれば子供はネガティブな意見も前向きに聞くことができる