共感を表す-トラブル・シューティング
Lesson3を通して、「共感」がチャイルドコーチングにおいて非常に重要なスキルであることを学んできました。しかし、共感を感じることができなかったり、上手に共感を表に表せない時もあります。
本章ではそんな時の解決方法を学習していきましょう。
共感ができない時
子育てにおいて、親がいつも子供に共感できるとは限りません。
駄々をこねているだけのように思えたり、忙しい時にわざと協力してくれないように思えたり、わがままばかり言うなどと感じ、共感を示してあげられない場面も多いのです。
でも、それでも構いません。
なぜならコーチングにおける「共感」とは相手(子供)の主張に全て同意したり、同じレベルで感じたりする「共感」とは違うものだからです。
カウンセリングやコーチングで使われる「共感」とは、実は「共感的理解」のことです。
「共感的理解」はしばしば簡単に「共感」と略されてしまいますが、相手の話の内容に自分を完全に同化させたり、話し手の気持ちになったりする「共感」とは違うもので、話している人そのものを肯定することを表しています。
例えば子供が兄弟げんかをしたとしましょう。
「妹がうるさいからぶった」という子供の気持ちには「共感」できないかもしれません。
しかし、「どうしてそうしちゃったの?」と疑問を抱くことは「共感的理解」ですし、「(あなたのことを気にかけているから)どうしてそんな気持ちになってしまったのか聞かせて欲しい」という態度も「共感的理解」です。
どちらも子供の存在を気にかけている(肯定している)からこそ感じることだからです。
あなたの肯定が正しく子供に届いたなら、子供はそれを「共感」と受け止めて心を開いてくれるでしょう。
共感的理解が相手に伝わらない時
Lesson3で学習した共感方法を実践しようとしても、子供から良い反応が返ってこない場合もあります。
そのような場合は、子供も親の「共感メッセージ」に戸惑っているのかもしれません。
今まで、親が会話の主導権を取っていた場合や、兄弟などがいて「自分の話を聞いてもらえない」と思い続けていた場合、せっかくの共感メッセージをうまくつかみ損ねてしまうこともあります。
「今日のお母さん(お父さん)は、やけに静かに話を聞いてくれるけど、なんだか妙だな」と違和感を感じているかもしれませんし、親からの共感メッセージに乗ってもっと話をしたいと思っていても「もしかしてまた怒られるかもしれない」と慎重になっているかもしれません。
そんな時は時間をかけて共感メッセージを送り続けてください。ボディランゲージでの共感メッセージでもいいですし、言葉での共感メッセージでもいいのです。
その日に反応がないとしても、かならず共感メッセージは伝わっています。
子供が共感メッセージに心を開いてくれる時をゆっくり待ちましょう。
共感メッセージは少し間違ってもいい
Lesson3を通じて「共感メッセージ」を相手に伝えるのはプロのコーチでも難しいとお伝えしました。
実際チャイルドコーチングを実践してみると、どの言葉をミラーリングしたら効果的なのか、どんな言葉をかけたら子供の心に届くのか迷うことも多いでしょう。
共感メッセージを伝えたくて発した言葉が子供の気持ちを逆に逆撫でしてしまったなんてことも時々あるかもしれません。
しかし、心配はありませんし、チャイルドコーチングを難しく考える必要もありません。子供は親の努力をちゃんとわかっています。
親と子供という信頼があるのですから、失敗しても共感の姿勢を隠さないようにしましょう。そのうちに的確に共感メッセージができる回数が増えていくことでしょう。
- 共感と「共感的理解」は違う
- 共感的理解は相手を人として肯定すること
- 共感メッセージがすぐに、うまく伝わらなくてもいい
