どうやって「共感」するの?
この章では、共感の「気持ち」(情動的共感)を表す方法を学習していきましょう。
1:聴くことで共感を示す
まず、レッスン2で学んだ心を相手の方に傾けて聞く「傾聴」そのものが、あなたの子供への「共感」を表しています。
レッスン2の復習になりますが、「ゆっくり時間をかけて聞く」「話に口を挟まず、最後まで聞く」ことが「あなたのことを気にかけていますよ」という強い共感のメッセージになっているのです。
2:表情や態度で共感を示す
Lesson 2-3で学んだボディランゲージを利用して、子供に「共感しているよ」というメッセージを送りましょう。
話を聞いている時は、怖い顔をしたりせずできれば穏やかな表情になるよう心がけましょう。また、親の体が子供からそれていると、子供には「話を聞きたくない」という非言語メッセージとして伝わります。話を聞いている間は子供と向き合って、できれば近い距離で聞いてあげましょう。
小さい子供が相手の場合は、しゃがむ等して、子供の目線の位置になることも効果的です。
また、Lesson 2-3で学んだように「腕を組む」などの何気ないポーズも話し手にはプレッシャーを与えることがありますから、意識して行わないようにしてください。
3:「間」をつかむことで共感を示す
子供が話しの途中で沈黙した時、また話がなかなか進まない時は待ってあげることです。
「それでどうしたの?」「結論は?」などと急かさず、相手のペースに合わせて聞くことが、「ちゃんと聞いているよ。一緒にいるよ。」という共感のメッセージを送ることになります。
相手の間に合わせることをコーチング用語では「ペーシング(pacing)-(歩調合わせ)」といいます。相手と一緒に歩いている時、一人だけ先に歩いてしまっては”一緒に歩いている”とは言えません。
同じように、子供がゆっくり話しているなら聞く側もゆっくりリラックスしながら聞き、子供が興奮してまくし立てて話すような時はこちらも身を乗り出すように聞いてあげましょう。
コーチングの会話は、このように相手の気持ちと話のペースに合わせてあげることで子供の信頼感を得ることができます。
4:感謝とねぎらい
子供の話が一旦落ち着いて今度は親が話しをする番です。
その時は、まず最初に感謝かねぎらいの言葉をかけて下さい。
子供は誰にも明かしたくない気持ちを吐露したのかもしれません。また、親の反応にドキドキしているかもしれませんから、親からの最初の言葉は「共感したよ」というメッセージであるべきです。
「話してくれてありがとう」
「●●君とゆっくり話ができてうれしかった」
「大変だったんだね」
「よく頑張ったね」
このようなねぎらいの言葉を最初にかけると、子供はほっとして、「もっと話したい」「さらに核心部分の話に進みたい」と思ってくれるかもしれません。
5:促し
最初のうちは「話を最後まで聞く」だけで精一杯になってしまいますが、慣れてきたら話の途中であいづち、うなずきを入れてみてください。
「うん。うん。」「そうなんだ。」「へえー」「そうしたらどうなったの?」などの的確なあいづちは、話をさらに促すと同時に、「興味をもって話を聞いているよ。もっと聞かせて」という共感の態度を表すことができます。
6:繰り返し
相手の言葉を繰り返すことで「理解しているよ」「ちゃんと聞いているよ」というメッセージを伝えることができます。
復習になりますが、繰り返すべきキーワードは「相手の感情」です。
「怖かったんだ」「嫌だったんだね」「面白かったんだね」など、感情を表す言葉を短く繰り返してあげます。
7:一緒に考えていこうという姿勢
話をするだけで子供の感情が落ち着いたり気持ちが満足する問題の場合、「6:繰り返し」までの「共感」スキルを使うだけで十分ですが、「子供がいじめにあっているらしい」「万引きをしてしまった」などの深刻な問題の場合は、子供の話が終わった段階で「一緒に考えていこうね」というメッセージを送ってあげましょう。
「これから一緒に考えよう」というメッセージは、深刻な問題を話した子供を拒否したり、親が動揺してしまったりしていないという姿勢を表すもので子供に大きな安心感を与えます。
「大丈夫だよ」「どうしたらいいか一緒に考えてみよう」と最後に声をかけることで、子供を「受容」することができるのです。
- 情動的共感とは、「共感している気持ち」を態度で表す方法
- 相手の話のスピードに合わせるペーシングを共感に利用しよう
- 感謝とねぎらいの言葉で共感を表そう
