レッスン2を通して、チャイルドコーチングの最初のステップである「聴く」スキルを学んできました。
レッスン3では、一歩進んで「共感する」スキルを学びます。
「共感」は、通常、ステップ1「聴く」と並行して同時に行われます。
では、なぜ「共感」することが大切なのでしょうか?
「共感」を表現するべき理由
子供と信頼関係を築くために「共感」する
通常のコーチングでは、コーチとコーチングを受ける人との信頼関係を築くために大半のエネルギーと時間が費やされます。信頼関係を築くことがコーチングの一番大切な基本と言われているからです。
一方、多くのチャイルドコーチングでは、子供と信頼関係を築く方法の詳しい説明が行われていない場合もあります。それは、チャイルドコーチングが「親子」という、すでに確立された強い信頼関係の中で行われるからです。
しかし、親子という関係が自動的に強い信頼関係をもたらすわけではありません。
それどころか、親子という関係に安心して信頼関係が他人との関係よりもないがしろにされてしまう場合もあります。また、日々の忙しい生活の中では常に親子の信頼関係を考慮するのも難しいものです。
ですから、「親子だから信頼関係があるのは当たり前」と考えたり、「大げさに共感スキル等を使わなくても、子供には信頼が伝わっているはず」と考えず、子供の話を聴く際に共感スキルを織り交ぜてみるようにしましょう。
「話し手に変化を引き起こす3つの要素」
アメリカの心理学者カール・ロジャーズ(Carl Ransom Rogers 1902年~1987年)は、相談者(コーチングの場面ではコーチングを受ける人)に主導権があると説いた最初の心理学です。ロジャーズは、彼の研究の中で、「人間には自己現実や解決する力が自然に備わっていて、自分自身を受容した時その人間には変化と成長が起こる」と述べています。
ロジャーズのカウンセリングでは話し手が自分を受容する為に、聞き手は
1・正確な共感性
2・非支配的な温かさ
3・誠実さ
を表して、それを助けることができると考えました。
子供が不満を持っている時、それは本人が自分自身で受容(受け入れられない)できない状況や気持ちがあります。
親がまずその気持ちに共感を表してあげることで子供の状況や気持ちを「受容」し、子供はそれに励まされて納得していくことができるのです。
ですから、親が「温かな表情で共感を表しながら子供の話を聞くこと」は、心理カウンセリングに匹敵する程大切なことなのです。
心の中だけの「共感」は伝わりにくい
相手の話を聞きながら心の中で共感しているだけでは、残念ながらなかなか相手にはその気持ちが伝わりません。
これは親子という親密な間柄でも変わりません。
心の中では深く共感したり相手の気持ちに感嘆したりしているのに、なぜか子供が話の途中で心を閉ざしてしまう場合、聞き手が上手に「共感の気持ち」を表現できていないのかもしれません。
レッスン3では、心の中での共感を上手に表現する方法をくわしく学びます。
次回レッスン3-2では聞き手の共感の「気持ち」を表す「情動的共感」の方法をご紹介しましょう。
- 「共感する」がチャイルドコーチングの第二ステップ
- 共感は信頼関係を築く
- 共感が相手の変化と成長をもたらす
