コーチング・リスニングの最後のステップは「時間をかけて聞く」です。
いろいろな効果的なリスニング・テクニックを駆使しても、親に十分な時間を取ってもらえないならば子供は「話を聞いてもらえた」とは感じません。
話すことは本来時間のかかるもの
コーチングをしてみようと思い、いざ子供と会話を始めたらなかなか話がすすまない。そんなことがあるかもしれません。話が脱線してしまう場合もあるでしょう。
「話す」ということは、「思考の過程」です。
話している間には、子供の頭の中では発見があり、新しい興味が沸いたり、気持ちを思い出したりといろいろな現象が起こっているのです。
また、子供は自分でも気づかない気持ちに向き合っているのかもしれません。答えは出ていても、気恥ずかしさから話題をそらしたいのかもしれません。
ですから、話している途中で子供が会話の内容を変えたり、沈黙が続いたりしても心配しないでください。
何度も時間をかけてコーチングしていかないと明らかにならない感情や問題もあります。大人向けコーチングも長い時間をかけて行うものですから、短時間で思うような結果が得られない場合でもがっかりする必要はまったくありません。
子供の話を聞きたくないと思う時
子供の話を時間をかけて聞くのが難しい理由に、「子供の辛い姿は見たくない」という親の当然の心理があります。
ある程度高学年になると学校でのストレスや環境も厳しくなり、話の内容がシリアスなものになっていくでしょう。
そんな時は”子供が辛い=自分が辛い”という親心から、「少しは前向きに考えてみたら?」「気にするのはやめなさい」などと話を切り上げてしまいたくなる場合もあります。
また、問題が深刻だと、「自分に助けてあげられるかどうか」不安になり、問題自体を軽視したり無視したりするかもしれません。
「子供が辛い思いをしているのを聞いていられない」というのは一見親の「愛」ですが、「そんな感情にならないで」と子供の感情を否定したり、問題自体を否定したりすれば、子供は傷つきます。
そもそも、感情を知らなかった幼い子供に感情を教えてきたのは他ならぬ親です。赤ちゃんだった時に、初めて大きな音にびっくりしたら親から「びっくりしたんだね」と受け止めてもらえ、泣けば「怖かったんだね」と理解してもらったはずです。それなのに感情が複雑に成長したとたん「そんな風に思ってはダメ」と否定されるとしたら、子供はショックを受け、混乱しても当然です。
子供の辛い姿を知りたくないと思ってしまう場合は次のことを思い出しましょう。
●話すこと自体が子供のセラピーになっている。だから今、聞くとことで子供の助けをしている。
●人には自分で問題を解決する潜在能力があるのだから子供自身が解決できる。
●子供が「辛い感情」を訴えても、親(聞き手)に問題を解決してもらおうとは思っていないことが多い
最後に、話し手は自分の感情に集中したり、聞き手に最大限に理解してもらおうとして、話の内容をより大きく、より深刻に話す傾向があります。子供の話が深刻なのでびっくりしたら、かなり誇張された話だったという経験をされたことがあるかもしれません。
親は子供の話を怖がらず、しっかり受けとめてあげましょう。
- 話すことは「思考の過程」
- 大切な話ほど話しだすまでに時間がかかる
- 話を聞いてあげること自体が子供への助け

