コーチングスキルの中で、最も難しいものが「的確な質問のスキル」です。
レッスンの繰り返しになりますが、コーチングは個々の人間に合わせて作られるオーダーメイドです。ですから、すでに作られた質問はあまり役に立ちません。
ルールや教科書がないだけに難しく感じるかもしれません。適切な質問をするためのいくつかのポイントを考えてみましょう。
相手の状態を知る
良い質問をするには、子供の話をよく聞くことは絶対条件です。
また、話しをきく以上のことも必要です。
ボディーランゲージから子供の感情を伺うスキルが大切になります。
もし、子供が話し合いを避けたり、一人になりたがる場合、子供の感情が整っていないと思うべきでしょう。
欧米では、親子の間で感情が高まると、子供は自分の部屋にいったん去るように告げられます。
そこで感情を落ち着けて冷静な話ができる準備をさせるのです。
日本では、逆に話をしている最中に場所を去ることは不敬なこととみなされます。
しかし、感情が高ぶっている時に冷静な話し合いはできませんから、子供をひとりにさせてあげたり、話し合いや質問を避ける配慮も必要でしょう。
感情の用意ができてない時に、いくら質問をしてもいい加減な返事しか返ってこないでしょう。
質問をする信頼関係ができていますか?
例えば、お互いを知らない相手に質問をされた場合、それがどんなに良い質問であっても答えを躊躇するでしょう。
親子でも同じです。
信頼関係が成立していない状態で質問をしても、その質問は会話を良い方向へ導いてはくれません。
信頼とは、まず先に時間をかけて子供の話や言い分を聞くことです。
話を聴き終わっても、まだ子供の感情が収まらない場合、きちんと話が聞けていないことも考えられますから、もう一度傾聴を繰り返してみてください。
その質問はわくわくする質問ですか?
質問をする前に、質問の意図を考えてみましょう。
その質問は子供を貶める罠のようなものでしょうか?それとも子供が前向きな気持ちになれるポジティブな意図のかる質問でしょうか?
無意識に情報を引き出したり、叱る材料にしたりするための質問はすぐに子供の心に警告を鳴らします。
質問をしたことで子供の顔がくもってしまい場合は、質問の裏にある意図をもう一度考えてみましょう。
「積極的な質問」という表現がピンと来ない場合、わくわくする質問、楽しい質問であるかが判断材料となります。
直感で楽しいこと、心が明るくなる質問や会話が失敗することはありません。
例えば、子供がネガティブなことばかり話す場合、「その中でも良いことはあった?」「では、良かった点はどんなところ?」と、元気がでる質問をしてあげましょう。
パラダイム・シフトの練習
とはいっても、急にポジティブな質問を考えること自体が難しい場合もあります。
子供が憤慨していたり、ネガティブな話ばかりする時は、親もついその雰囲気につられてネガティブになりがちだからです。
良い質問が思い浮かばない時はパラダイム・シフトの練習をしてみましょう。
「パラダイム」とは「(個々の人間に)ある思考パターン」です。
平たくいうと「個人の中の常識」のようなものといえます。
パラダイム・シフトとは、あなたの中に固まってある常識的思考を変えてみることです。
映画などで、悪役だと思った人が最後に良い人だったと分かる”どんでん返し”がありますが、「パラダイム・シフト」そのようなものです。
例えば、職場の上司が冷淡な人だと思ってる場合、「実は冷淡ではない」というパラダイム・シフトを自分の中で起こしてみましょう。
上司が「実は冷淡ではないという証拠」を探してみるのです。
そのようにすると、意外に優しい一面が急に発見できることがあります。
「通勤路はとても退屈」という思考が固定していたら、「退屈ではない」ことを強いて発見するよう努力します。
もし、興味深いことを発見できたらあなたは自分でパラダイム・シフトを起こせたのです。
このようなトレーニングを繰り返すと、人の話の中でもパラダイム・シフトを起こせるようになります。
ネガティブな話の中にもポジティブな一面を発見できるようになるのです。
発見できたら、それを質問によって相手に気づかせてあげましょう。
- 良い質問をする前に環境が整っているか観察する
- 信頼関係が出来上がっているか確認する
- パラダイムシフトの練習をしてみる
